監督:行定勲「きょうのできごと」

原作より端っこのエピソードがもう少しだけ増えている。いくつかの「きょうのできごと」が存在していて、はぎれのようなひとつひとつのできごとが、ラストに近づくにつれて縫い合わされていく。ピースそれぞれの時間と空間のつながりが、明らかになって終わる。まあいわゆる「朝のリレー」の映画版ってやつ。
私はなんか、どうしても田中麗奈がしっくり来なくてうーんって思ってしまったのだけど、それはまあ個人の感覚なので。映画自体は淡々とした感じ、別に何があるというわけではない、時間感覚を楽しむ作品だと思う。

天王寺動物園のそばの青空カラオケは最近撤去されたあのカラオケ通りがモチーフなんかなあ。

中沢くんのアパートは百万遍ではなかった。今出川やったから京大ではなくて同志社なのかもしらん。でも中沢くんの風貌は進々堂でレポートをやっていそうな人の風貌だった。
わたしは去年少しだけ、あの叡電出町柳の駅から少し下がった川端沿いのゲーテに通っていた。だからぶらぶらとあの辺を歩いたりした。レミの家に行く時や、西部講堂に行く時も通った。ひとりで映画を見ていたら、一時期は毎週あの風景を見ていたんだなあ、と思った途端になんだかとても寂しくなって、関西に帰りたいなあと思った。
多分東京が嫌だとかそういうのではなくて。わたしはなんだかとても遠くに来てしまったんだなあと、今また、あの映画を見て思ったのだった。

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