2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ぼくはおんがくかでんたくかたてに

音楽には二通りあるのだ。 ただ好きな音楽といつも聴ける音楽とは少し違うんだよ、と言われたことがあった。わたしは好きなものがいつも聴ける音楽だと思っていたから、その人がそう言う意味がよくわからなかった。 * * 家で仕事をして、はじめて気づいた…

枇杷の木

先週の話。 突然東京にやってきた父を、同じく突然東京にやってきた弟と迎えに行った。地下鉄には乗りたくなかったので、中央線に乗った。快速電車はぐんぐんとスピードを上げて東京駅へと向かう。「テストが終わったから」と弟はいい、「出張に来たから」と…

あつい時期のあまい花

帰り道に山梔子の植え込みがある。幹線道路に面した植え込みは、花も葉も、都会の空気ですっかり痛んでしまっている。痛々しい姿の白い花は、その香りだけが何も変わらずに甘い芳香を放っている。 暑い時期の甘い匂いは、日本がかろうじてアジアの風土である…

はかなきもの

グラスが割れてしまった。 あ、と思った時にはもう遅かった。手を添えようかどうか迷っているうちに、うす緑のグラスはかしゃんと音を立てて割れた。派手な音ではなく、ガラスにしては小さい音だった。 こちらに来てすぐいくつか身の回りのものを買い揃えた…

むずかしいほん

そういう難しい本ってぜんぶ意味わかるん。と聞いたことがあった。友人は、んー、すぐにはわからんけど。でもわかるまで何回も読めるやんか、と笑った。そして、長いこと楽しめるやん? と続けて言った。その言葉が友人らしくて、すこし笑ってしまった。その…

気の長い話

親戚からもらった紫陽花はずいぶん長くもっている。もらった時に叔母が、 「紫陽花は水をよく吸うからね、少しずつ切ってあげると長く楽しめるよ」 と言った。庭にはたくさんの花が植わっていて、私の母からもらったというベゴニアがとても大きくなっていた…

うたかたの日々

バランスを崩してしまい、自分のバランスを取るための日記が書けずにまたバランスを崩す、という私がここしばらくどのように過ごしていたか。 * *「第四夜 紫陽花」 近所の親戚から紫陽花を分けてもらう。青と赤紫と赤ピンク、違う種類をそれぞれ少しずつ…

女の人の顔

雑誌を読んでいた。 載っているのは年輩の女性ばかりなのだけれども、どの人もとてもふくよかなやさしい表情をしている。人前に出る職業の人ばかり、ということはもちろんあるのだろうけれど。でもなんというか、そういうものからは離れたところにある美しさ…

ここ2日くらいのこと。

気分が悪い時と平気な時が交互に来る。 いちおう病院にも検査に行った。まあ、西洋医学は対処療法であることの再認識というか、原因がないと治療法がないことを確認しただけのような気もする。 家にいたのでテレビがかかりっぱなしだった。 【アフロでオーバ…

「めまい」

二度と行かないと思っていた自由が丘に通うことになった。 自由が丘はたいへん遠いがもう仕方がない。 * * * 「めまい」といえばヒッチコックで『軽いめまい』なら金井美恵子なのだが実際は文学的であるはずがなく「ゲー出そう‥‥」と涙目でフラフラになる…