ぼくはおんがくかでんたくかたてに

音楽には二通りあるのだ。
ただ好きな音楽といつも聴ける音楽とは少し違うんだよ、と言われたことがあった。わたしは好きなものがいつも聴ける音楽だと思っていたから、その人がそう言う意味がよくわからなかった。

 * *

家で仕事をして、はじめて気づいたことがあった。音楽には、仕事中の存在として少しうるさすぎるものがあるということ。それはおそらく、音楽が中心の普段では気づかない感覚。いつも聴ける音楽は、なかなか繊細な判断基準によって選別されるらしい。

COCOLOTICA」を聴く。朝も、夜も、仕事中も聴く。わたしを邪魔せず、必要以上にがなり立てず、自然と空気になじんでいく音色。でも邪魔にならないのと、存在感がないのとでは意味が違う。聴く人に対して協調性を持つということなのだ。柔らかい音色の奥底で、今もリズムが静かに強く、きちんと主張している。

10の曲は繊細な判断基準を潜り抜け、いつも聴ける音楽になった。