むずかしいほん

そういう難しい本ってぜんぶ意味わかるん。と聞いたことがあった。友人は、んー、すぐにはわからんけど。でもわかるまで何回も読めるやんか、と笑った。そして、長いこと楽しめるやん? と続けて言った。その言葉が友人らしくて、すこし笑ってしまった。そのお家の本棚にならぶ哲学の本は、何度も読んだあとがあるものばかりだった。

友人はぼんやりとした口調で、ときどきはっとするようなことを言う。何度も読めるような本を見つけられるのは、きっととてもしあわせなことだ。

溢れるほどの本がならんだ本屋の片隅で、そういうやりとりをしたなと思い出した。