うたかたの日々

バランスを崩してしまい、自分のバランスを取るための日記が書けずにまたバランスを崩す、という私がここしばらくどのように過ごしていたか。

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「第四夜 紫陽花」
近所の親戚から紫陽花を分けてもらう。青と赤紫と赤ピンク、違う種類をそれぞれ少しずつ。ウェルチの空き瓶に飾る。家の中がまた明るくなる。

「第三夜 たゆたう水のような音と京都の空気」
どこでかかっていてもハラカミくんの作品はすぐそれとわかる音。いつ聴いても優しくて穏やかな空気。

「第二夜 ティアーズ・フォー・フィアーズ
クレーの「泣いている天使」が描いてあったので、配給会社のはがきを持って帰ってきた。ただモチーフとして使われただけなのかもしれないし、もしかしたら別の意味があるのかもしれない。私にはどんな思惑があるのかよくわからないけれど、この線画だけを見るなら、とてもたくさんの意味が込められているような気がする。装飾をせず、多くを語らず。文章なら行間を読めと言わんばかりの天使の涙

私は昔から「記憶」という言葉、「記憶」が関わるものに対して執着心がある。雑誌が捨てられないのも、人の言葉が頭からいつまでも離れないのも、昔のことを懐かしむのも、すべてはそこに起因しているのだと思う。
この話は主人公が記憶を少しずつうしなえていくのだと書いてあった。映画では滅多に泣かない私も泣くと思う、天使ではないけれど。

「第一夜 Nightfly」
夜に外の景色を眺めている。
実家にいた時はよく星を眺めて帰った。暑くても寒くても同じように黄色く、白く、ぴかぴかと光った。そして悲しい時はいつも、満天の星が「がんばって」と言ってくれたように見えた。
今の部屋は四階にある。窓がふたつあって、そのひとつが東向きにある。そこからは遠くのビルと、赤やオレンジの光が点滅しているのがよく見える。都会の星は東京タワーのように赤っぽくぼんやりと光るのだ。そして、悲しい時にはあの星と同じように、私に「がんばって」と言ってくれることを知った。

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夏目漱石の「夢十夜」のようにするのはなかなかむずかしい。辛くなってきたのでこの辺でお暇を。