3月10日(土)ユメレジ presents jealkb スペシャルライブ

(以下敬称略)

お誘いいただいたのでSHIBUYA-AXへ。jealkbを中心にV系ではベテランバンドのムック、元ラクリマクリスティ&PIERROTメンバーのいるバンド・アルビノによるジョイントライブ。番組から派生したイベントらしくこの日もM-ONの中継が入っていた。


ムックは10年選手らしくさすがの貫禄。ただもっとゴスっぽい衣装でやっているイメージだったので、メンバーが一見最近のプログレロック系メガネロック系、スカコア系ふうのものすごくカジュアルな衣装で出てきたのでびっくりした。歌っている歌詞が「殺したい」とかなのに、ヴォーカルさんがドアーズTシャツを着ていたりするのが今っぽいなあと思った。お客さんがみな若い女の子で、トーンもテンションも私が普段行っているようなライブの何倍も高かった。定番らしい曲ではダイヴやモッシュ当たり前、あっちこっちにモッシュピットはあるわヘッドバンギングのウエーブは出来るわで常に客席側が波打っている感じ。上から見ているだけなのに圧倒される。


まだデビューして間もないアルビノは、どちらかというと爽やか目のポップロック。名前もそんな感じだからV系だとばかり思っていたので、イメージがちょっと違った。疾走感のある曲が多めで、とにかくヴォーカルの人が楽しくて仕方がないという感じで歌っていたのが印象に残った。


トリはjealkb。V系とは言っても実はロンブー淳ハロバイ金成など芸人さん中心のバンドだったりする。でも実際のライブを見ると、「芸人の片手間バンド」で括ってしまうにはちょっともったいないくらいの華やかさと巧さがあって驚いた。個人的にロンブー淳が割と好きな芸人さんである事を差し引いても、芸能人ならではのオーラを振りまきながら歌う姿はとても格好良い。haderu(ボーカル/ロンブー淳)の歌はものすごく上手いし、あの化粧と衣装で「殺されたい?」とか聞かれたら若い女子ファンなんかは「キャー!」ってなるだろうなあ、と思う。しかもプレイされていた作品はV系といっても少しずつ雰囲気が違っていて、中にはヘヴィゴス系風の曲もあったりときちんと作られているのがわかる。ムックとコラボレーションして作った曲もあったらしいし。
演奏も喋り担当chaos(Cho&Key/ハロバイ金成)、hideki(Violin&Dancer/ニブンノゴ!森本)以外のメロディ&リズム隊担当組、ediee(G/ニブンノゴ!大川)、mofto(G/俳優菊池健一)、dunch(B/じゃぴょん桑折)、elsa(Dr/元チープスープ衛藤)たちはものすごく真剣に弾いていて、実際とても上手だった。

ライブ前に前説が出てきたり「日本一腰の低いビジュアル系バンド」という冠がついていたり、なぜかMC中に小芝居(「〜食べたいな」「買ってくるよ」「あ、じゃあ●●(材料)買ってきて」「最初っから作るんかーい!」)が入っていたり、会場をお題にした「あいうえお作文」(おもに金成担当)があったりして、そういう部分で芸人さんであることを思い出すのだけど、逆にその舞台慣れした感じがライブをいい方向に持って行っている。しかも、ファンに赤いハンカチを持って来させたり、曲の振り付けが決まっていたりと会場での一体感を出させる準備も周到。この日のhidekiはヴァイオリンをまったく弾かずダンサーに徹していたり、お笑いでの空気を引き寄せる技術がライブに応用されている事がよくわかる。やっぱり本職が芸人さんならではの完成度だな、と。
衣装も往年のV系バンドらしいゴシック調で格好良かった。特にmoftoはえらく女子っぽくて、出てきた時に「うわあマリス(ミゼル)のMANAさまがいる!」と思ったくらいで。

最近の芸人さんはホントに多才だなーと感心しきり。あんまりない体験だったので新鮮で面白かった。