JETRAGプロデュース「呪い」@新宿ゴールデン街劇場

チュートリアルの徳井くんが脚本を書いたという演劇「呪い」を見た。元々、彼の書くコントは時系列でなかったり最初と最後がループしていたりと演劇的な要素が感じられたので、そういう人が演劇を書いたらどうなるのかと興味があったもので。
(まだ公演が続くので感想は簡単に。畳みます)
一言で言えば「紛う方なきチュートリアルの作品」。言葉の使い方やディテール、シチュエーションの設定、そこかしこに「らしさ」が炸裂していた。ストーリーの要素には、おそらくあの番組で経験したことなんだろうなと思えるネタや、雑誌のコラムと連動した部分がいくつかあり、彼が身近な出来事や物から作品を作っていく人であることを再確認。そしてカフカの「変身」を思わせるような件もあって、彼自身が知ってか知らずかはわからないけれど、シュールレアリズムの本流がきちんと組み込まれていたのが興味深かった。全体的には、お芝居として見ると荒削りな感じがするのは否めないのだけど、コントと考えればそこがシュールさとして逆にアリになる。角度によって色が変わって見える不思議な仕上がりだった。
出演はドラマで活躍されている黒坂真美さん、動物電気小林健一さん、親族代表の竹井亮介さん。お三方ともさすがの実力で、彼らの漫才でよく見るあの台本ともアドリブともつかない感じを違和感なく作り出していたので驚き。特に小林健一さんは、間や言葉の使い方が、福田くんがまるでそこにいるかのような感じだった。脚本そのものがそういう作りだったんだろうから、そう考えると、徳井くんは、コントを考える時にいつも頭のどこかに福田くんの存在があるんだろうと感じた。例えば、ウォーホルにとってのイーディ、シャネルにとってのキーラ・ナイトレイのような存在。とはまあ言い過ぎかもしれないけど。

評価としては良いとも悪いとも言いづらいというか(それを求められている作品でもないと思う)、自分自身カテゴライズのしづらい不思議な感触が残った。それを確かめるためにも、もう一本くらい別の脚本も見る機会があったらなと思う。

あともうひとつ。徳井くんや役者さんたちにはまったく関係ない話だけど、告知方法があまり気持ちのいい物ではなくて残念だった。せっかく実力派の役者さんを揃えているのだから、そちらをもっとアピールしてあげた方がよかったのでは‥‥。