終の住処

故郷を離れた人間にとって自分が作る住処は心身の状態をも左右するものだと思う。以前一足違いで諦めたマンションを戯れに検索したら空きがあった。自分は鈍い方だけれど、そこだけは足を踏み入れた時「ここに住んだら楽しいかもしれない」と感じた場所だった。もう引越などできる状態ではないから、今はただその画像を眺めていいなと思うだけでしかない。最近同じように上京している友人たちが家を買った話を立て続けに聞いた。この歳になればそれくらいのことは考えてしかるべきなのだなとぼんやり生きてきた我が身を振り返り少し悲しい気持ちになった。