キューピッドの矢が刺さったハートマーク入りサインとカヒミ・カリィ (mixi日記)

彼女が此企真里という名前でフリッパーズの1stビデオに出演していたとか、BAD DREAM FANCY DRESSからつけたらしいFANCY FACE GROOVY NAMEで「CARRY CRAZY」だとか、「乙女心に火がついて爆発よ!」な「恋はイェイェ」だとか。
未だに「Mike Alway's Diary」がすごい好きという時代錯誤も甚だしい私だけれども、あのピンク色のCD盤や、キューピッドの矢が刺さったハートマーク付サインが入ったジャケットは、今でもちょっと手放しがたい輝きを持った存在。

まばゆいばかりに閉じこめられた光が、アンティークの渋みを持った光になるとどうなるのか。

キュートでポップなベレー娘カヒミ嬢も今では立派な30代。力強き声を持つR&B系女子とは別ベクトル(むしろ正反対)にある、ウィスパーボイスのディーヴァとしてご君臨というわけ。「VALENTINA」とかのバンドデシネに見られるような毒のある甘さというか、そこはかとないエロチシズムがにじむ彼女の空気には、フレンチノワール系ヴォーカリストのなにかが感じられる(この辺が猫沢エミやら加藤紀子がどうがんばろうが追いつけないところでもある)。たとえば「Trapesist」はまさにフランスの裏通りを感じさせる、夜とワインと黒いドレスの音楽。とても格好良くて、とてもアヴァンギャルド。「NANA」ではもう少しポップなナンバー、フレンチハウス風というか、どことなくピチカートを思い起こさせるような、そんな雰囲気。
 そしてこれから聴くのは新しいアルバム。紆余曲折を経たフレンチノワールのディーヴァは、どんな風に、「Montage」を紡ぎ出しているのかしらん。