あなたったら

わたしを全然見向きもしないのね。

R.D.レイン『好き?好き?大好き?』読了。
みすず書房なのにずいぶんロマンチックな詩集が出ているんだなと思ったら、やっぱりちょっと違っていたみたいだ。ここから出ている“文学の顔をした精神分析論”は、見えない感情をなにがしかによって解説しようとしているところが面白い。バルトの『恋愛のディスクール』もそうだったことを思うと、なるほどなと。
精神科医のレインが患者との対話を詩作(もしくは戯曲)ふうに書いている。たしかに、執拗なまでのフレーズの繰り返しや言葉の羅列は精神病の人ならではのような気もする。言葉遊びのような、禅問答のような、呪文のような、すれ違いばかりの、答えの出ないやりとり。ストーリーも意味もない、ただ延々と続いていく言葉が並んでいる。
でもそれはそれでいい。ダラダラと読み散らかすには意味のない禅問答でちょうどいい。

この間買ったマイルスの「Brack Satin」を聴いている。軽快なハンドクラップと小刻みに跳ねたリズムがかっこいい。