断ること

朝から不動産屋に電話をする。
向こうは仕事だから薦めてくるのであって、その後の私の生活が快適であるかどうかの保証はしてくれない。だから私には断る権利があるのだけれども、それ以前に断ること自体が嫌なものなのだ。だから電話口で「断る」と言う代わりに「見送る」と言ったら罪悪感が少しだけやわらいだ。勝手な話だと思う。

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友達の日記に「断る時は断られる時と同じくらい心が痛む」と書いてあった。
あの時困ったような顔で私をなだめた人もそういう気持ちだったのだろうか。鈍痛のような哀しみを感じる私に、少しでも心を痛めてくれていたのだろうか。

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断るという言葉には嫌な思い出しかない。