「1じ3じ」at ルミネ the よしもと

4月14日(金)分「1じ3じ」at ルミネ the よしもと
出演者:ダイノジ /COW COW /友近野性爆弾麒麟 /ショウショウ/吉本新喜劇(辻本組)

ダイノジ
 初見。 スペシャの音楽番組は見たことがあったのでその際の「オレンジのつなぎ&スーツ」の印象で見ていたら、この日は二人とも揃いの「80年代ビートたけし風の虎プリントニットにスラックス(ナニワ金融道の戎橋を歩いているおっちゃんぽい風貌)」だった。見ただけで笑える風貌は軽く反則。面白すぎる。
 とはいえ、見た目だけではなく、かなり舞台慣れした貫禄のある話術で驚いた。メインの「兄弟の遊び」ネタに入るまでにも、かなりアドリブが入っていたようなのだが、まったく違和感なくテンポよく聞かせてくれた。ほかのネタも見てみたいと思わせられる巧さだった。

COWCOW
 結局イマイチ弾けなかった「フルーツ大統領」組のCOWCOW。今どこでやっているのかと思っていたら、現在は東京吉本に所属しているらしい。
 ネタは「上から読んでもしたから読んでも‥‥」という廻文もの。多田くんのゆっくりとした柔らかい間が不思議で面白かった。でもネタより何より、最初のべっ甲のメガネをかけつつ「笑福亭笑瓶に似てるんです」と言ったのが一番面白かった。実際、周囲の関西人とおぼしき人々に大受けしていた。
 シンドバッドもなかよしも解散してしまっている昨今、フルーツ大統領時代のコンビは彼らを含めて数組くらいしか残っていないようなのでがんばってほしいな。

友近
 なぜか女性ピン芸人がやることが多い、80'Sアメリカンな女の子吹き替えネタ。類似系として島田珠代さんの「なるほど・ザ・ワールドー恋人選び(アメリカ編)」が思い出されるが、友近のはステージセットアリの「80'sお茶の間ドラマの女子(アメリカ編)」。ちなみに「マンスリーよしもと」によると、R-1グランプリで披露したネタだったらしい。
 彼とのデートに洋服を選ぶのに歌い踊ったり、テレビを見ながらチアリーディングをしたりする仕草、父親に部屋を覗かれて怒るところやその言葉遣いなど、アメリカンギャル感が炸裂。個人的にはモリー・リングウォルドの「プリティ・イン・ピンク」を思い出してしまう。
 やっぱり友近はオヤジ模写よりも女性や女の子の模写のほうが活き活きと見える気がする。私の個人的な趣味かも知れないが。

野性爆弾
 一昨年のオールザッツでの「靴買う〜」ネタが一部地域に大人気だった野性爆弾(川島くんは絶対沖縄出身だと思っていたのに同郷だった。しかも割と学区が近い)。今回もパンチのあるシュールなコントだった。
「ギターを買いに行ったら1週間後と言われた」〜「帰りに事故にあう」〜「手術」〜「腕手術できんからテープでとめとけ」〜「腕うごかへん!」〜「できたギターがカメ仕様」〜「俺はカメやった! カメやから海に帰る!」〜「産卵」〜終了。
 ‥‥えっ終了!? という文字にすると余計にわかりづらいコントだが、終わってからもすべて筋を思い出すことができるというのは、それだけインパクトが強かったのではないだろうか(たぶん)。

麒麟
 今日の個人的メイン。ネタは「趣味の話“だるまさんがころんだ”」〜「子どもができたらなんて名前を付ける?」〜「川島保父さんと田村裕くん」。既存のネタ3本のトリプルコンボだったので、ネタ自体に目新しさはなかった。が、初生麒麟かつ「麒麟です!」擬音ネタ「バイクに乗った時に受ける風の音」などええ声が聴けたのでとにかく嬉しかった。
 しかし笑顔で田村くんを虐めまくる「川島保父さん」は相変わらず怖いな。「誰が暗いねんのろい殺すぞ(ニッコリ)」や「なんでやねん爪はがすぞ(ニッコリ)」ツッコミが個人的に聞きたかったのだが、結局最後まで出なかったのが残念。
 あと、見る前は「別に顔とか男前とかはあんまり関係ないし‥‥」と思っていたが、実際に見たら川島くんは本当にものすごく男前で驚いた。

【ショウショウ】
 初見。かなり安定した漫才だったので、どうしてこの人たちを知らないんだろう? うめだ花月メインなのだろうか、と思いながら見ていたのだが、やはりそうだったらしい(2005年から東京吉本所属とのこと)。擬音ネタを合間合間に入れていた。が、この辺は昨今川島くんがやっている印象が強いし、この日のお客さんには彼のほうが圧倒的に人気があるから、同じ日かつ直後に重ねてやるのはかなり不利なのでは‥‥と思った。キムタクの微妙な歌真似も先行のホリと比べると弱い。とはいえ、中居正広の歌真似は似ていたし、鳩ネタ三連発も面白かった。ラジオデイズオクダくん曰く、「巨人師匠の笑い声の物まねがものすごく面白い」らしいので、機会があれば他のネタも見たい。
 あとまったくネタとは関係ないが、彼らのスーツの形の微妙な古さ(5年くらい前の感じ)が気になってしかたがなかった。

吉本新喜劇(辻本組)】
 今日は辻本組。オリジナル新喜劇からは辻本茂雄井上竜夫(おじゃましまんにゃわ)・烏川耕一(口笛)・浅香あき恵(油田)諸氏が参加していた。一言で言ってしまえばネタは定番のロミオとジュリエットだけど、その合間に小さくはさまれるネタが男子カップルの話だったり、新宿だからなのか、と思わせられるネタも(とはいえ、新喜劇にHGが出ていたことを思うと、最近の脚本はその辺り変わってきているのかも‥‥)。
 新幹線・油田・口笛・矢印などなど新喜劇ならではの身体ネタ、ものすごい簡単なセット、わかりすぎるほどわかっている筋回し、もう土曜の昼間感覚満開で、なんだかとても嬉しかった。
 辻本さんの舞台回しが抜群の貫禄。三角公園USAの時代もずいぶん遠くなりにけり、だ。他の組の新喜劇を見ていないから比較出来ないが、とにかくネタのテンポが速かったのが印象的。中でも、しりとりネタ・言葉ネタをどんどん重ねて畳みかけていくシーンは圧巻だった。間違った言葉を重ねるピンクレディメドレーなどフリも言葉もばっちりで、終わった後に客席から「おお〜」という感心の声が出るほど。それから、演技なのか素なのかがわからなさすぎるたいぞうのアヴァンギャルドすぎるレシーブの応酬(=すべりすぎ)を、素晴らしい間と感覚で笑いに還元する辺りにも、手腕がかいま見えた。漫才もそうだけど、きっちり台本のある新喜劇では特に、突如入るアドリブにどれだけ柔軟に対応できるかでその人の腕がはっきりとわかる。その点やっぱりベテランの呼吸を感じた。

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 SEに電気グルーヴの「新幹線」が使われていたのだが、それこそ「芸人さんは大阪から新幹線に乗ってルミネに来ているんですよ」というアニメに合わせてのことなのだろうか(苦笑)(←「新幹線」ではなかった‥‥曲名が思い出せないのだけど)。あと幕間や出ばやしで流れる音にハッピーハードコア率が異様に高かった。