バウハウス・デッサウ展@東京藝術大学美術館

バウハウスというと日本ではミサワホームバウハウスコレクションの所蔵物が一番多いので、今回もそこからの出展かと思ったら違った。ドイツのバウハウス・デッサウ財団が収集・所蔵しているデッサウ時代の作品が中心で、そうした内容の展示は日本では13年ぶりらしい。

実際に見に行った感想としては、確かにラインナップがちょっと違う感じがした。展示方法やその内容がベルリンのバウハウス美術館によく似ている。いわゆる日本人が「バウハウス」と聞いて想像するような教授陣の作品というよりは、そこで学んだ学生がどんな表現を実際にしたか、そのカリキュラムをどんな形で提出していたか、という「バウハウスという学校が学生に与えた教育」を体系的に見せる展覧会。そしてそれが、後の社会にもたらした影響がどんなものだったかを想像させることができるようなもの(日本への影響も含めて)。デザイン・絵画・写真・グラフィックなどの平面、建築・家具・食器類などの立体、映像、ダンス・演劇などの身体表現、作品のバリエーションはさすがに多彩。バウハウスが基礎科目から最終的に建築へ繋がるように幅広いカリキュラムを実践していて、さまざまな芸術表現の実験を行っていたことがわかりやすくまとまっていた。

実は入ると、メイン展示に入る前に地下一階へ案内される。年表に合わせてバウハウスに影響を与えたとされる未来派やロシア構成主義、デ・スティルなどの芸術運動から、数は少ないながらも重要な作品*1がまとめられており、まずはバウハウスへと至る流れを見るようになっている。

こうした時系列・内容別の分類はどこの展覧会でも考慮されている物だけど、順路と会場の関係に加えて作品量のバランスも関係してか、見終わった後にものすごく研究論文的な起承転結が感じられた。だからこそ、企業運営の美術館ではなくこういう学校併設の美術館でやれてよかったんじゃないか。
それから、この時代の芸術表現と社会との関係は切っても切り離せないもの。最初のごあいさつとして、学校が社会へもたらした関係についてきちんと見せる、的なことが書いてあったけど、個人的にそれはわりと成功しているんじゃないかと思った。
バウハウス・デッサウ展 http://www.bauhaus-dessau.jp/index.html

*1:国内で探せる物の中から必要な物をピンポイントで選んでいる感じがした