矢口史靖監督「ハッピーフライト」

羽田にて・1
ANA全面協力と矢口監督の作品ということで見に行ってみた。すごく面白かった! 飛行機好きなら映画館に見に行って損はない迫力だと思う。
機長テストを受けるコーパイロットと新米CAが中心の話だけど、そこばかりに焦点が当たりがちだったこれまでの航空業界映画とはまったく違う。トラブル回避のために走り回るグランドスタッフや機体&ライン整備士、バードパトロール*1管制官、オペレーションコントロールセンター、地上で安全運航に携わる裏方さんたちの活躍がいろいろと描かれている。トラブルの原因情報が空港オタクや飛行機オタクから入ってくる件、サービスの一環でやっている構内見学が引き起こしたトラブルの件、今の状況をうまく取り入れつつも最後にはすべて繋がる構成がすごい。さすが2年間を情報収集と取材に費やしただけあると感心するストーリーだった。田辺誠一のナルシスト入ったコーパイロットや、岸辺一徳田中哲司田山涼成時任三郎寺島しのぶなどのここぞという時にかっこよく立ち回る上司、ホントにカウンターにいそうな田畑智子、役者陣も素敵な人ばかりでよかった。
羽田にて・2
そういえば、田畑さんの出てきたオーバーセルでアップグレードの件。私も10年ほど前に初めてルフトハンザに乗ったのだけど、同じようなアップグレードの経験があった。日本には専門カウンターがなかったらしくANAが代行していたのだけど*2、私もグランドスタッフさんに「一人」で「文句を言わなさそうな人」、なんて思われたのかしら‥‥と考えるとなんだか面白い。

見終わった後で、これって規模の大きくなった『裸足のピクニック』だよなあ、と思った。「スウィングガールズ」ではあまり感じなかったけれど、このトラブルトラブルまたトラブル、みたいな矢継ぎ早さは監督の根っこにある物なのかもしれない。規模が変わっても出てくるテイストはそう変わらないんだなと。そして矢口監督の作品は見終わった後にすっきりするのがいい。誰も嫌な気持ちにならない映画だから、元気を出したい時にも最適だと思う。
そして絵本みたいにかわいいパンフデザインは(やっぱり)大島依提亜さん。自分が見に行く映画がたいていそうだというのは何かある種のターゲット層としてはまっている、ということなんだろうか‥‥。
ハッピーフライト http://www.happyflight.jp/
裸足のピクニック http://www.pia.co.jp/pff/scholarship/07_hadapic.html

*1:そんな職があるなんて初めて知った

*2:スターアライアンスグループだからだと思う