*[日々]「あたし、植物図鑑しか読めないんだ。」
写真:実家の裏庭の八重桜
東京ガールズブラボーでサカエちゃんがそう言ってたなあと思った。昔は幼稚園くらいの女の子がなりたいものは? って聞かれると「お花屋さん」と答えていたというけれど、今でもそうだろうか。大人になった今ではもう、きれいに見えるもののバックヤードがどんなに大変かというのをよく知ってしまっている。だから無邪気に「お花屋さんっていいな! 」とはあまり言えないのだけれども。
ただ、きれいなものがきれいであることにはかわりはないし、きれいなものをさらにきれいに見せられる人をすごいと思う気持ちも変わらない。
* * *
家で花を育てている母は、私よりもずっとたくさんの花の名前を知っている。店で売っているような変わった花は作れないが(というか種が売っていないしうちでは野ざらしだ)。
「母の日のカーネーション入りおまかせアレンジ」には、いろいろと変わった花が入っていた。ガクの部分にふうせんかずらのようなぷっくりとした緑色の風船がついている花や、花芯のあたりに緑の実がついている花、どれもうちの庭にはないしゃれた品種ばかり。聞けるものなら聞いてみてほしい、というので尋ねてみたら、お店の平松さんがこころよく教えて下さった。
白はウツギかオーニソガラムアラビカム、グリーンはニゲラかグリーンベル。
おそらくフウセンカズラみたいなのがグリーンベル、緑の実がオーニソガラムアラビカムだろう、ということに落ち着いた。母は「ああ! オーニソガラムか。そうかーオーニソガラムのアラビカムという手なんやね」と言った。オーニソガラムのアラビカム。カタカナことばにはある程度慣れているつもりのわたしも、さすがに呪文を唱えているような気分になってきた。花の名前はむずかしい。私が今すぐ思い浮かべられるのは、ヒペリカム、アカンサス、アガパンサス‥‥これくらいか。
きれいな花は呪文と同じ、唱えている内に消えてしまうもの。