[クラブダイアリー]いわゆるひとつのソウルソニックフォース

10月23日(日)三十路ナイト@渋谷on@off
DJ: moritakesh、DJ U、d0d1e、aniki、ruko
VJ: スピルバーグ映像

DJの5人がすべて30歳、30歳はディスカウントの「三十路ナイト」。とりあえず自分たちが通ってきた曲をがっつりかける(=90年代テクノ満載だから覚悟してこい)と宣言していたイベントに行ってきた。

ANIKI女史のっけからキング牧師の声ネタ(あれGREEN VELVETだよね)でスタート。そのまま何が出るかと思ったらTODD TERRY「Jumpin'(Rhythm Masters Mix)」+DJ TONKA「Phun-Ky」のロングミックスでびっくり。DJ CREATOR「Ki-Ki-Ki-Kiss Me」やGROOVEYARD「Watch Me Now」に大喜び、ひさびさのSIZE9「I'm Ready」には涙。彼女らしいNEW ORDER「Bizarre Love triangle」でさらに涙。ラストなんてWESTBAM「Wizard of Sonic」だし、これはもう無条件にバンザイでしょ。

実は彼女のDJをきちんと聴くのは初めてだったのだけど、懐かしネタを取り混ぜているのに今の雰囲気がきちんとあって、とても格好良かった。ブースそばで座って聴いていた(通常の告知を見て来たとおぼしき)お姉さんぽい女の子たちが、いつの間にか立ち上がって楽しそうに踊りだしていたのがほほえましい。

途中でふと、ANIKIは自分のDJが冗長に聴こえたり、退屈に思われたりすることが絶対に嫌なのだろうなあと思った。だから、「曲をただつないで終わり」という使い方はほとんどしていなくて、終始カットイン・カットアウト、逆回転、スクラッチ、これでもかとギミックを入れて曲を再構成するスタイルを取るんじゃないかなと。「I'm Ready」のBPMが下がる部分すべてに逆回転スピンを重ねたりしてね。
レコードのリズムカウントを取っている時も、ミックスしている時も、それから楽しげにブースから煽っている時ですら命を削ってやっているかのような真剣さがあって、なんだかほれぼれする姿だった。彼女のDJはもっといろんな人に聴かれるべきだと思う。

upsetのUくんのDJも初めて聴いた。
まずDEAD OR ALIVEの「You Spin Me Roud」ネタを使う辺りがものすごくいい人だと思う(笑)。
してその後のセットはまるで90年代の難波ロケッツ! ロケッツのフミヤさんの音が今また降臨したかのような、天井から降り注ぐ音。あの辺の音はAXISとかMISSILEレーベル系だったかな、私が好きだった頃の色のあるミニマルトラックは。途中でかかったトラックが音が何層にも重なってあんまり格好良くて、思わずブースにまでチェックしにいってしまった(アダム・ベイヤーの絡んだトラックだそうな)。ラストにかかったTHE CLASH「London Calling」には、思わず「まるでウェザオ−ルみたいだわ」と涙。

彼のDJは音が矢継ぎ早に現れては消えていく感じがいい。その音が波のようにきれいな流れを作っていたから、すごく上手に音(レコードではなくて)を使ってプレイをする人なんだなあと思った。曲を作る人独特の手腕なのかもしれないけど、音が途中で見えたり消えたりする、アニキとはまた違った曲の再構成の仕方をしているのが面白かった。BOOM BOOM SATELLITESの「JoyrideーProgression_Final Operation」をこんなにフロアで違和感なく、上手に使っている人って初めて聴いたんだったけど、それもこういう理由からかも。彼のDJは最初にフロアで聴けてよかった。

ラスト1時間はDJ5人の90年代ネタBack 2 Back。PRODIGY「Everybody in the Place」(ギャーと言ってしまった)、LEMON INTERREPT、CJ BOLLAND、MIKE VAN DYKEなどなど。C.T.SCAN「Cold Sleep」、ATLANTIC OCEAN「Waterfall」、RENE ET GASTON「Conte De Fees」など往年のテクノクラシックで、これぞ三十路ナイトという感じ(笑)。その中でFROGMANから出ていたパルスマンの曲が異様に盛り上がっていたのは、あーやっぱり東京だなと感じた。多分これは大阪だったらとれまの誰かだろうし、福岡だったらSYZYZYの誰かになるんだろうな。今はもうほとんどなくなってしまったテクノ独特の地域性を急に思い出した。

気持ちよく楽しく、なんだかいい気分になるイベントだった。1975年に生まれたわたしはやっぱり90年代のテクノで育ったんだなあと思う。

DJ+参加者のみなさんおつかれさま。