5月5日(金)INFINITY vol.04 at SAZA*E

X-PRESS 2

GUEST DJ:X-PRESS 2
DJs:DJ MIZUTA、KENJI MARUI、TACT、SHINE、TORU
VJ:GORAKU


 GWに多々開催されるパーティの中、2つ目に選んだのは、SAZA*Eで定期的に行われているINFINITY。ゲストDJがX-PRESS 2だなんて、行かない手はない! という位の意気込み。フジロックにも出演した彼らだから、私がクラブダイアリーで書いてきたアーティストの中では、名前を聞いたことがある人は多いかもしれない。

 でも、最近はブレイクス好きの私が、そうとは甚だ言いがたい彼らのDJを、なぜそんなに心待ちにしていたのか。それは日本にUKテクノやハウスが持ち込まれた頃、90年代初めの思い出に理由がある。
 当時のクラブでは「UKで今一番キているレーベルといえばJUNIOR BOYS OWN(現JBO)」ということが定説になっていた。その所属アーティストといえば、UNDERWORLDCHEMICAL BROTHERS、そしてX-PRESS 2。彼らは新しいUKテクノがいかにすごいかということを、それぞれがたった1枚の12インチで教えてくれた。私たちをぶっとばすような、それくらいの衝撃を与えてくれたのだ。今のクラブシーンは彼らが居たからあると言っても過言ではない。そして、そんな彼らの思い出があったからこそ、こうして私はクラブダイアリーを書き続けているのだと思う。
 だからこそ、どうしても聴いておきたかったのだ。

 
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 SAZA*Eはとってもゴージャスなバー兼クラブで、あちらこちらに鏡とシャンデリアが仕込まれている。東京だとAIRを10倍くらいゴージャスにしたような感じ。メインフロアから5階まで吹き抜けになっているフロアには、ミラーボールが8個(!)と明るすぎるほどの照明。もしかしたら、クラブよりはディスコと言った方が近いかもしれない(それならば、INFINITYのノリだけが突出して異色だという話も肯ける)。

 12時頃にMIZUTAさんがスタート。実は最初、フロアの雰囲気とお客さんの様子、そこに流れるブレイクビーツに違和感があった。でも音の力とは不思議なものだ。しばらくするとその辺も気にならなくなり、SWITCH「A Bit Patchy」*1など黒っぽい雰囲気のブレイクビーツ物、SANTOS「3-2-1 Fire!」といった変速リズムのブレイクスに大喜び(笑)。すっかり楽しめるようになってしまった。
 中盤から少しピッチが遅めに。恒例のクラシックネタ(今日はSILVETTI「Spring Rain」ネタ)を挟みつつ、ブレイクスとハウスの中間、特にパーカッシヴなネタやトライバルなネタの曲が多く聞かれるようになった。もしかすると、X-PRESS 2の曲にある要素を一通り盛り込んであるのかな〜などと感心していたら、またまたX-PRESS 2「Musik Express」(「London X-Press」だったそうです。すっかり間違って思いこんでました、すいません)のイントロ! 先も書いた90年代クラブミュージックの大ヒット作、いつ聴いても本当に恰好がいい。この曲も含めて、なんとなく今日はアッパーな四つ打ち物が多めだったと思う。

 そしてX-PRESS 2のROCKY、DIESEL、そしてASHLEYの3人が登場。のっけからASHLEYがマイクを持ち、ところどころにMCを挟み込んで煽っていたのでびっくり(初めて見たので)。しかも、ある曲ではMCをサンプリングしつつトラックと合成して1曲にするという「グリーンベルベットスタイル」も取っていた(笑)。フロアはパーティに来たお客さんとSAZA*Eのお客さんが混ざり、人口密度が一気に上昇。DJは3人もいるわターンテーブル6台+CDJ2台だしMCは入るわ、で、何も知らない人にもアピール度は抜群だったらしい。
 見た目やパフォーマンスだけでなく、DJプレイが良いのは当然! 序盤からしばらくは人の多さにぐったりしていたのだが、さすがにベテラン。それを吹き飛ばすほどの格好良さがあった。渋いハードハウスからじわりじわりと持っていき、中盤で急にリズム・キックともアッパーな1曲を投入。そこを境に、フロアの空気が一気にアッパーに変わってすごかった‥‥。「Smoke Machine」を挟みつつ(確か)、その後も緩急をつけた構成で一時も休ませず、でもなぜか疲れないという絶妙な選曲がなされていた。実際、後半になればなるほどよくなっていった気がする。

 後半はブース裏に移動して踊っていたのだが、ここがちょうど、DJブースの後ろからフロアが見える構造になっていた。彼らと同じ視点でフロアを見られるなどそうはない。そこにいたことで、明らかに「お客さんの歓声による相乗効果」とも思われる空気が感じられてよかった。アッパーなハードハウスやNWぽいレコードを選びながら、お互い笑顔で耳打ちしたり、煽ったり、何かしらお客さんに反応したりしつつDJしているのが見える。特にASHLEYは、レコードボックスを覗きながら何かしら反応してくれて、微笑ましいこと限りなし、だった(笑)。

 こんないい雰囲気の中で踊っていたら、友人が「ASHLEYは京都の時のことを覚えているらしいよ」と教えてくれた。先でも書いたように、その時の事を思って来た私だったから、なんだかとても嬉しくなった。X-PRESS 2の初来日は1994年1月29日。CLUB VENUS第一回目のゲストDJとして、ASHLEYが単独で来京したのだった。そういえば、あの時も彼は、MUSUROOMのフロアでDJのすごさと格好良さを、笑って教えてくれていたよ。

X-PRESS 2 feat. DAVID BYRNE「Lazy」

 アンコールのシメはX-PRESS 2「Lazy」! DAVID BYRNEの歌声に合わせて、フロア全体が大合唱! ミラーボールがきらきらと光るフロアで、たくさんのお客さんが手を挙げて、ブースに向かって手を振っている。最後にASHLEYは「サンキューオーサカ!」と言ってくれた。終わるのが寂しいくらいだったけれど、あの場に居ることができたから、それだけでもよかったと思う。
 というわけで、参加のみなさんお疲れさまでした。


【関連リンク】
X-PRESS 2 http://www.xpress2.com/

Dj MIZUTA Blog_X-PRESS 2解説(4月21日、22日分) http://blog.livedoor.jp/djmizuta/

X-PRESS 2「Muzikizum」(→Amazon.co.jp)
「Lazy」や「Smoke Machine」などの試聴が可能(トラック物の場合サンプル30秒ではほとんど展開がわかりません。あしからず)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000068QNX/249-1221937-0078713