ヤン・シュヴァンクマイエル「ルナシー」@イメージフォーラム

これぞイメージフォーラムらしい映画。サドとエドガー・アラン・ポーのモチーフが入っているというので見に行ったら、昨今遠ざかっていた結構なブラックさで衝撃だった。終わった後に一気に背筋が冷たくなって鳥肌が一瞬出た。


誰が普通で誰が狂っているのか、何が正気で何が狂気なのか。そういう人間の精神の表裏一体にある部分が描かれている。精巧に作られた映像がバロック(だっけ?)音楽と相まって、東欧の空気の暗さと共にものすごい不気味さを醸し出していた。実はシュヴァンクマイエル初見なんだけど、きっとこれがシュヴァンクマイエルのすごいところなんだろう。


最近穏やかなハッピーエンド物ばかり見ていたので、ひさびさに活を入れられた気がする。よくできた作品だけど、本物の精神病の人が出ていたりキリスト教冒涜とソドムの饗宴、精神病棟のシーンがすべてなので、精神的に弱いとか肉の造形がダメな人とかだと見るのは辛いかもしれない(少しだけヘルンバインぽさがある気もする)。

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